2016年11月27日日曜日

【第16回】 ся動詞

ロシア語の動詞で語末が、ся(сь)で終わっているものを ся動詞シャー動詞)と呼びます。ся動詞は、普通の動詞の語末にсяを付加することで形成されます。普通の動詞の語末に「ся」という語末が付加されると、もともとの意味に「自分自身を」あるいは「自分自身(のため)に」というニュアンスが付加されます

語末のсяは母音の後では сьという形になります。例えば、занимать(占領する、占める)という動詞の語末に、сяをくっつけてзаниматьсяというся動詞を作ると、「従事する、勉強する」という別の意味の動詞になるわけです。сяの持つ「自分自身を」というニュアンスが「占領する」に加わり「自分自身を占領する=従事する、勉強する」といった意味内容の動詞に変化するわけです。

以下、заниматься (従事する、勉強する)の過去形と現在形の人称変化をまとめておきます。ся動詞の人称変化は、сяを取り除いた元の動詞の変化形に、そのままсяまたはсьを付加します(сяまたはсьの区別は上記青字のルールに従う)。

ся動詞現在形の人称変化
я занимаюсь
мы занимаемся
ты занимаешься
вы занимаетесь
он занимается
они занимаются

ся動詞過去形の人称変化
он (я, ты) занимался
она (я, ты) занималась
оно (я, ты) занималось
они (мы, вы) занимались


ся動詞に関連する注意点

(1)ся動詞の語末が「тьсяおよび тся」という綴になるときは、「тца」という綴りと同等の発音になります。

(2) 全ての動詞にсяがついた形が存在するわけではありません。逆に、сяがついた形の動詞しか存在しない場合もあります。例えば、знать(知っている)には、-ся動詞がありません。逆に、улыбаться(微笑む)はсяがついていない形の動詞は存在しません。 

(3) 上記で少し触れましたが、сяがつくと、元の動詞の意味に、(自分で~する)「再帰」、(~される)「受動」、 (お互いに~する)「相互」などのニュアンスが加わって別の意味を持つ動詞となります。

例文

сяの有無で、例えば次のように意味が変わります。

Мать одевает мальчика.(発音
母が少年の身支度を整えている。

Мальчик одевается.(発音
少年は身支度している。

2016年11月25日金曜日

【第15回】 名詞格変化: 軟変化型(男性名詞,女性名詞の場合)

第10回で硬変化型名詞の格変化について学習しましたが、今回は軟変化型名詞の格変化を見ていきましょう。

第10回でも触れましたが、硬変化型名詞と軟変化形名詞は、語末が硬音で終わるか軟音で終わるかで区別します硬変化型名詞は硬音で、軟変化形名詞は軟音で発音が終わります

再度、硬音と軟音の定義を確認しておくと、日本語の拗音(きゃ、きゅ、きょ、にゃ、にゅ、にょ、りゃ、りゅ、りょ、等)に相当する音が軟音、それ以外が硬音です

硬変化型名詞、軟変化型名詞は、綴り上は格変化する時に明確な違いがありますが、実は音感的には似通った格変化を行います。実際に両方の型の発音聞くと、格変化のパターンが音の上では似ていることがわかると思います。

例として、軟変化型の名詞  писатель(作家、男性)、 музей(博物館、男性)、неделя(週、女性)の格変化を以下の表にまとめておきます。

男性軟変化名詞
女性軟変化名詞
主格
писатель
музей
   неделя
対格
писателя
музей
   неделю
属格(生格)
писателя
музея
   недели
与格
писателю
музею
   неделе
前置詞格(前置格)
о писателе
о музее
   о неделе
具格(造格)
писателем
музеем
   неделей

 名詞が格変化をするとき、全ての格で綴りが異なるわけではなく、上の表に見られるように、いくつかの格では同じ綴りになることもあります。また、格変化しても綴りが変わらない場合もあります(つまり、格変化しない、とも言える)。以下に付加的なルールを2つまとめておきます。

1. -ийおよび -ияで終わる男性名詞および女性名詞の前置詞格(前置格)はともに 「-ии」
  男性名詞: Василий   →   о Василии
  女性名詞: станция   →   о станции

2. 女性名詞の前置詞格(前置格)と与格は常に同じ綴りとなる
  станция   →   [前置格/与格]станции

例文

Он был в России.(発音
彼はロシアにいた/行ったことがある。

Вы были в Японии?(発音
あなたは日本に行ったことがありますか?

2016年11月24日木曜日

【第14回】 場所の表現

ロシア語で「ここで、あそこで、家で」など、場所を表す方法は大きく2通りあります。
  1. здесьここ)、 тамあそこ)、 дома家で)など副詞で表す。
  2. 前置詞 в / на+前置詞格(前置格)の名詞」という形で表す。
前置詞「в」 は内部や閉ざされた場所にいる(ある)状態を表し、前置詞「на」は表面や広々とした場所にいる(ある)状態を表します。

例文

例文で場所を表す表現を確認しておきましょう。

副詞を用いる方法

Я дома.
私は家にいます。

Это здесь. 
(それは)ここです(ここにあります)。

Это там. 
(それは)あそこです(あそこにあります)。

前置詞 в + 前置詞格(前置格)

в столе(発音)  
引き出しの中に

В комнате(発音
部屋で

в посольстве / школе, театре , ресторане(発音
大使館/学校、劇場、レストランで

в университете(発音
大学で、大学に

в городе / стране,  море(発音
街/国、海の中で

前置詞 на+ 前置詞格(前置格)

на столе(発音)   
机の上に

на востоке /   западе,   юге,  севере(発音
東/西、南、北で

на вокзале /   почте,   заводе(発音
駅/郵便局、工場で

на приëме /   вечере,  концерте,  работе(発音
受付/集い、コンサート、職場で

на Урале /    Кавказе(発音
ウラル/コーカサスで

2016年11月22日火曜日

【第13回】 動詞の現在形: е変化動詞

ロシア語の動詞は、現在形の人称変化のパターンによって、е変化動詞(または、第Ⅰ変化動詞)とи変化動詞(または、第Ⅱ変化動)の2種類に分類されます。ここでは、まずе変化動詞の現在形についてまとめます。

е変化動詞の現在形を作るには、不定形の語末からтьを取り除き、тьの代わりに、主語の人称と数(単数または複数の区別)に応じて、ю、ешь、ет、ем、ете、ютを語末にくっつけます。

現在形は状況によっては現在進行形の意味を表すこともあります。читать(読む)というе変化動詞について現在形の綴りを表にまとめておきます。

е変化動詞の現在形
    不定形
читать
主語とその人称
語幹 語尾
単数
 

複数
1       
я       
читаю
2
ты
читаешь
3
он ,оно, она
читает
1
мы
читаем
2
вы
читаете
3
они
читают


ロシア語の現在形では、主語と動詞の形は必ず1対1対応します。つまり動詞の語末の綴りを見ることによって主語を見なくても主語を特定することができます。このことからロシア語の現在形では主語が省略されることが多くなります

また、現在形になると、語末だけではなく語幹まで綴りが変化する動詞も例外的に存在します。例えば、頻出単語の хотеть(~したい、~を欲する)もそのような動詞の一つです。

主語/不定形
хотеть
я
хочу
ты
хочешь
он/он/оно
хочет
赤字部分が語幹

例文

例文で、е変化動詞の現在形の使用例を確認しておきましょう。

A: Что ты делаешь?(発音
何をしているのですか?

B: Читаю.(発音
読書です。

A: Что вы делаете? (発音
何をしているのですか?

B: Отдыхаю. (発音

2016年11月20日日曜日

【第12回】 曜日

今日は何曜日ですか?」と問われて、「今日は○曜日です」と答える時には、曜日を表す名詞の主格で答えます。

一方、「◯曜日」と表現したいときには、「前置詞 в +曜日の対格」の形で答えます。曜日を表す名詞も、格変化するとアクセント位置が変わる場合があるので、発音を繰り返し聴いてアクセント位置を覚えましょう。

以下、曜日を表す名詞と、「○曜日に」を意味する「前置詞 в +対格」の形を表にまとめておきます。

主格
в+対格
月曜日:понедельник
в понедельник
火曜日:вторник
во вторник
水曜日:среда
в среду
木曜日:четверг
в четверг
金曜日:пятница
в пятницу
土曜日:суббота
в субботу
日曜日:воскресенье
в воскресенье

火曜日、вторникの「前置詞 в +対格」の形は、вが重なると発音し辛いため、воという形に音便変化(発音の都合による変化)します。

例文

例文(AB間の対話文)で上記のルールを確認しましょう。

A: Какой сегодня день? (発音
A: 今日は何曜日?

B: Сегодня вторник.(発音
B: 今日は火曜日です。

A: Вы не знаете, когда отдыхают студенты?(発音
A: 学生達がいつ休むか知りませんか?

B: В субботу и в воскресенье.(発音
B: 土曜と日曜です。


【第13回】 動詞の現在形: е変化動詞
【第11回】 活動体と不活動体

2016年11月19日土曜日

【第11回】 活動体と不活動体

ロシア語の名詞は人や動物を表す「活動体名詞」と、それ以外の物を表す「不活動体名詞」の2種類に分けることができます。活動体名詞と不活動体名詞はそれぞれ異なった格変化を行います。具体的には、男性活動体名詞の対格は属格(生格)と同形で、不活動体名詞の対格は主格と同形となります。以下まとめておきます。


男性活動体名詞の対格 = 属格(生格)
男性不活動体名詞の対格 = 主格


活動体、不活動体の区別は、単数では男性名詞の場合にだけ発生します。女性名詞の単数形では、たとえ人や動物など動くものであっても不活動体名詞として格変化します(つまり、女性名詞の単数形では、活動体と不活動体の区別はない)。

例文

以下例文で、男性活動体名詞の対格が属格(生格)と同じ形になっていることを確認しましょう。また女性活動体名詞では、対格と属格(生格)の形が異なることを確認しましょう。

Я знáю его друга. (発音
私は彼の友人を知っている。(対格)

имя друга. (発音
友人の名前 (属格(生格))

Она читáет  журнáл. (発音
彼女は雑誌を読んでいる。(対格)

Это журнáл. (発音
これは雑誌だ。(主格)

Я знаю его сестру. 発音
私は彼の妹を知っている。(対格)

Это его сестра. (発音
こちらが彼の妹です。(主格)




【第12回】 曜日
【第10回】 硬変化型名詞の格変化