2017年3月12日日曜日

【第23回】 命令形

今回は動詞の命令形について学びます。ロシア語で命令を表現したいときは、動詞を命令形と呼ばれる形に変化させて用います。

Тыで呼ぶ相手に対する命令形 

まず、Тыで呼ぶ相手に対する命令形の作り方を見てみましょう。(「Тыで呼ぶ相手」については、第3回を参照。)

1.現在語幹が母音で終わる動詞は、現在語幹に йをつける
例)читать(読む)の現在語幹は чита で母音で終わるので命令形は читай となる。
(現在形の人称変化は、читаю、читаешь、… чита-ютなど。ここ参照。)

2.現在語幹が子音で終わる動詞は2つのパターンに別れる。
2-1. 現在語幹が子音で終わりアクセントが語末にある動詞は、現在語幹に и をつける
例)говорить(言う)の現在語幹は говор と子音で終わる。また不定形のアクセント位置はговорить と語末にある(太字がアクセント位置)。したがって、命令形は говори となる。
(現在形の人称変化は、говорю、говоришь、… говорятなど。ここ参照。)

2-2. 現在語幹が子音で終わりアクセントが語幹にある動詞は、現在語幹に ь をつける
例)верить(信じる)の現在語幹は вер と子音で終わる。不定形のアクセント位置はверить と語幹にある(太字がアクセント位置)。したがって、命令形は верь となる。
(現在形の人称変化は、верю、веришь、… верятなど。ここ参照。)

выで呼ぶ相手に対する命令形

выで呼ぶ相手に対する命令形の作り方も、基本的にはТыで呼ぶ相手に対する命令形と同じです。異なるのは、выで呼ぶ相手に対する命令形では、一律、Тыで呼ぶ相手に対する命令形の後に те を付け加えます

例)
Тыで呼ぶ相手に対する命令形: читай(読め)、 говори(言え)、верь(信じろ)
выで呼ぶ相手に対する命令形: читайтеговоритеверьте

その他、注意するべきこと

(1)現在語幹の形は、動詞の現在3人称複数形の ют(е変化動詞の場合)、ят(и変化動詞の場合)語末を取り除いた除いた部分です。(第13回第19回参照)

(2)-авать という綴で不定形が終わる動詞は、不定形の ть を取り除いた形から命令形を作ります。

例えば、давать(与える)の命令形は、まず ть を取り除きます。ть を取り除くと、その前の文字が а と母音なので、先程説明したルールに則って、й をくっつけます。したがって、命令形は давай となります。

давать の人称変化では、даю, даёшь,…のように、да が語幹となります(ここ参照)。

(3)ルールに従わない例外も存在する
 помнить(覚える)は、語幹がпомнなので子音で終わっています。またアクセント位置は、помнитьと語幹にあります。したがって、上記のルールでは、ь をつけるはずですが、この単語に関しては、命令形は、помни となります。この様な例外も存在するので注意が必要です。


例文

извините(発音
すみません
不定形:извинить(許す)

Скажите, пожалуйста.(発音
すみません、教えていただけますか。
不定形:сказать(言う、告げる)


【第22回】 人称代名詞の与格
【第24回】 名詞格変化 ― 中性名詞

2017年3月11日土曜日

【第22回】 人称代名詞の与格

過去数回に渡って、ロシア語では名詞の格によって文法的な役割が示され、名詞が6種類の格に変化することを格変化と呼ぶことを学びました(例えば、第10回参照)。

私(я)、あなた(ты)、彼(он)、それ(оно)、彼女(она)、私達(мы)、あなた・あなたたち(вы)、あの人達(они)、などの人称代名詞も名詞なので格変化します。人称代名詞の格変化は今後徐々に学習していきますが、まず今回は人称代名詞の主格と与格を覚えましょう。

人称代名詞の与格の形は以下のようになります。(2音節以上ある人称代名詞については赤字でアクセント位置を表しています。)

 主格 
 я
 ты
 он / оно 
 она 
 мы 
 вы 
 они 
 与格
 мне 
 тебе 
 ему
 ей
 нам 
 вам 
 им

人称代名詞の与格は、受益者(や被害者)を表すほか、無人称文と呼ばれる文章で意味上の主語となったり、動詞の間接目的語や前置詞に支配されて用いられます。

例文

Мне хорошо.(発音
私は快適だ。


【第21回】 хотетьの変化
【第23回】 命令形

2017年3月4日土曜日

【第21回】 хотетьの変化

欲しい、求める、願う」といった意味で用いられる動詞 хотетьは、非常に例外的な人称変化を行う動詞です。特殊な変化を示すと同時に最頻出単語の一つでもあるхотетьについて、今回はその独特の人称変化をまとめます。 

хотетьは現在形時制において、単数形はе変化動詞(第I変化動詞)で、複数形はи変化型動詞(第II変化動詞)として人称変化しますさらに、特殊なアクセント変化を示すのも特徴です

е変化動詞(第I変化動詞)については、第13回第17回で、и変化型動詞(第II変化動詞)については第19回で基本事項をまとめているので復習しておいてください。

хотетьの人称変化をまとめた表をいかに示します。アクセント位置を赤字で示しています。

不定形:хотеть
я
хочу
мы
хотим
ты 
хочешь
вы
хотите
он
хочет
они 
хотят


上の表で見て取れるように、хотетьは不定形と現在形で子音が入れ替わったり、単数形でアクセントがいったん左に移ったものが複数形で元の位置に戻ったりします。これらの変化は、ロシア語の動詞の中では極めて例外的です。特に、アクセント位置の移動については、хотетьのような移動を示す動詞は他に存在しません。

例文

Я хочу есть.(発音
私はおなかが空いている(私は食べたい)。

Есть хотите?(発音
おなかがすいていますか?(あなたは食べたいですか?)


【第20回】 по-рyсски と рyсский язык
【第22回】 人称代名詞の与格

【第20回】 по-рyсски と рyсский язык

「ロシア語で話す」という時の「ロシア語で」という意味内容をロシア語で表すには、по-русски という言い方をします。по-○○という言い方は、「○○語で、○○風に、○○式に」といったニュアンスを表します。つまり、「ロシア式に話す」と言うことで「ロシア語で話す」という意味内容を表す訳です。по-русскиという表現は、говорить(話す)、понимать(わかる、理解する)などの動詞と共に用いられます。


一方、「ロシア語」という意味内容を直接表すには、русский язык という言い方をします。читать(読む)、знать(知っている)などの動詞はрусский языкと共に用いられます。

「ロシア語」以外の言語について「○○語で」というときも同様です

例文

Вы говорите и понимаете по-японски?(発音
あなたは日本語を話し聞いて分かりますか?

Вы знаете японский язык?(発音
あなたは日本語を知っていますか?


【第19回】 и変化動詞現在形(1)
【第21回】 хотетьの変化

2017年3月2日木曜日

【第19回】 и変化動詞現在形(1)

第13回で、ロシア語の動詞は、現在形の認証変化によって、е変化動詞第Ⅰ変化動詞)とи変化動詞第Ⅱ変化動)の2種類に分類されることを紹介しました。また、е変化動詞と変則的е変化動詞の現在形の人称変化を、第13回第17回で学習しました。今回は、残るもう一方の動詞、и変化動詞(第Ⅱ変化動詞)の現在形の人称変化について学習します。

и変化動詞の人称変化では、不定形からтьとその前の母音を取り除いたものが語幹となります。(е変化動詞では、不定形からтьを取り除いた形が語幹となっていましたので、語幹の捉え方が若干異なります。)

そして、その語幹にе変化動詞と同様に、主語の人称と数に応じてю, ишь, ит, им, ите, ятを付け足します。具体例として、 говорить(話す)という代表的なи変化動詞の人称変化を表にまとめておきます。

я
 говорю
мы
 говорим
ты
 говоришь 
вы
 говорите
он 
 говорит
они
 говорят

и変化動詞の特徴は、1人称単数(я)と3人称複数(они)以外で、語末に и が現れることです

なお、不定形で ть の前の母音にアクセントがある動詞は、人称変化によってアクセントが移動することがあります。アクセントが移動する礼として、смотреть(見る)という動詞の人称変化を以下に示しておきます。赤字で示した文字がアクセント位置です。

смотреть(不定形) 
я смотрю 
ты смотришь
он  смотрит
мы  смотрим
вы  смотрите
они  смотрят

例文

A: Вы говорите по-русски?(発音
あなたはロシア語を話しますか?

B: Да, я  говорю по-русски.(発音
ええ、話します。


【第18回】 этот、тот、весь、один
【第20回】 по-рyсски と рyсский язык

2017年3月1日水曜日

【第18回】 этот、тот、весь、один

頻出の4つの代名詞と数詞、этот(代名詞、この)、тот(代名詞、あの)、 весь(代名詞、すべての)、один(数詞、1つの)は、形容詞のように修飾する名詞の性と数によって4つの形に変化します。

単数では修飾する名詞の性によって3つの形に、複数では性別に関係なく1つの形になります。この性質は、第6回で学んだ形容詞の変化と同じです。


単数
複数
 意味
男性
女性
中性
этот
эта
это
эти
この, その, あの
тот
та
то
те
その
весь
вся
всё
все
全ての, 全部の
один
одна
одно
одни
ある, ひとつの

例文

этот дом(発音
この家

эта газета(発音
この新聞

это море(発音
この海

эти люди(発音
この人たち

тот дом(発音
あの家

та газета(発音
あの新聞

то море(発音
あの海

те люди(発音
あの人たち

весь дом(発音
家全体

вся газета(発音
新聞全部

всё море(発音
海全体

все люди(発音
全部の人々


【第17回】 変則的е変化動詞とоватьで終わる動詞
【第19回】 и変化動詞現在形(1)