今回は動詞の命令形について学びます。ロシア語で命令を表現したいときは、動詞を命令形と呼ばれる形に変化させて用います。
Тыで呼ぶ相手に対する命令形
まず、
Тыで呼ぶ相手に対する命令形の作り方を見てみましょう。(「Тыで呼ぶ相手」については、
第3回を参照。)
1.
現在語幹が母音で終わる動詞は、現在語幹に йをつける。
例)
читать(読む)の現在語幹は
чита で母音で終わるので命令形は
читай となる。
(現在形の人称変化は、
читаю、
читаешь、…
чита-ютなど。ここ
参照。)
2.現在語幹が子音で終わる動詞は2つのパターンに別れる。
2-1.
現在語幹が子音で終わりアクセントが語末にある動詞は、現在語幹に и をつける。
例)
говорить(言う)の現在語幹は
говор と子音で終わる。また不定形のアクセント位置はговор
ить と語末にある(太字がアクセント位置)。したがって、命令形は
говори となる。
(現在形の人称変化は、
говорю、
говоришь、…
говорятなど。ここ
参照。)
2-2.
現在語幹が子音で終わりアクセントが語幹にある動詞は、現在語幹に ь をつける。
例)
верить(信じる)の現在語幹は
вер と子音で終わる。不定形のアクセント位置はв
ерить と語幹にある(太字がアクセント位置)。したがって、命令形は
верь となる。
(現在形の人称変化は、
верю、
веришь、…
верятなど。ここ
参照。)
выで呼ぶ相手に対する命令形
выで呼ぶ相手に対する命令形の作り方も、基本的にはТыで呼ぶ相手に対する命令形と同じです。異なるのは、
выで呼ぶ相手に対する命令形では、一律、Тыで呼ぶ相手に対する命令形の後に те を付け加えます。
例)
Тыで呼ぶ相手に対する命令形:
читай(読め)、
говори(言え)、
верь(信じろ)
выで呼ぶ相手に対する命令形:
читайте、
говорите、
верьте
その他、注意するべきこと
(1)現在語幹の形は、動詞の現在3人称複数形の
ют(е変化動詞の場合)、
ят(и変化動詞の場合)語末を取り除いた除いた部分です。(
第13回と
第19回参照)
(2)-
авать という綴で不定形が終わる動詞は、不定形の
ть を取り除いた形から命令形を作ります。
例えば、д
авать(与える)の命令形は、まず
ть を取り除きます。
ть を取り除くと、その前の文字が
а と母音なので、先程説明したルールに則って、
й をくっつけます。したがって、命令形は
давай となります。
давать の人称変化では、
даю,
даёшь,…のように、
да が語幹となります(ここ
参照)。
(3)
ルールに従わない例外も存在する
помнить(覚える)は、語幹がпомнなので子音で終わっています。またアクセント位置は、п
омнитьと語幹にあります。したがって、上記のルールでは、
ь をつけるはずですが、この単語に関しては、命令形は、помн
и となります。この様な例外も存在するので注意が必要です。
例文
извините(
発音)
すみません
不定形:извинить(許す)
Скажите, пожалуйста.(
発音)
すみません、教えていただけますか。
不定形:сказать(言う、告げる)
【第22回】 人称代名詞の与格
【第24回】 名詞格変化 ― 中性名詞