2015年7月11日土曜日

【第1回】 名詞の性

<<名詞のタイプの判別、その1>>

ロシア語の名詞は、文法上、男性名詞女性名詞中性名詞の3つのタイプに分類されます。どの名詞がどのタイプに属するかは、綴りの終端(語末)からおおよそ判断することができます。

  • 男性名詞: 語末が子音で終わる(йも子音であることに注意)。もしくは、ьで終わる。
  • 女性名詞: 語末が、а、я、ьで終わる。
  • 中性名詞: 語末が、о、е、мяで終わる。

яで終わる女性名詞とмяで終わる中性名詞は混同しやすいので注意が必要です。ただし、мяで終わる中性名詞は10個しか存在しませんので、大きな問題とはなりません。

ьで終わる名詞は、男性、女性両方の場合があり、語末からは男性、女性の区別はできませんので個別に覚える必要があります(語末以外にも、単語の意味等から名詞の性別を類推できる場合もあります)。

以下、具体例を見ながら名詞の性別ごとの語末の綴りを確認してみましょう。(括弧内に書かれた日本語の意味から東京外大言語モジュールの発音音声にリンクを貼っていますので、クリックすると発音を聞くことができます。)

男性名詞
студент(男子学生)、трамвай(路面電車)、музей(博物館)、словарь(辞書

女性名詞
студентка(女学生)、Япония(日本)、станция()、новость(ニュース

中性名詞
окно()、море()、поле(野原)、здание(建物)、время(時間


名詞の性別の基本ルールまとめ
(三人称代名詞は第3回で学習します。)
硬音
軟音
対応の三人称代名詞
男性名詞
-子音
-й, -ь
студе́нт  музе́́й  де́нь
он  彼 それ
女性名詞
-я, -ь
студе́нтка Япо́ния  но́вость
она́ 彼女 それ
中性名詞
-е, -мя
окно́  мо́ре  и́мя
оно́ それ

<<名詞のタイプの判別、その2>>

名詞の中には、その1のルールでタイプを判別できないものも存在しますが、その名詞が生物学的な意味で(もしくは慣習として)性別を区別できる場合、文法上の性別も生物学的な(もしくは慣習的な)性別に従います

例えば、папа(パパ)、 мудчина(男性)などは、語末が母音の「а」で終わるので、その1のルールに従うと女性名詞ということになりそうですが、単語本来の持つ意味がハッキリと生物学的に「男性」だと判別できるので、この場合、文法的にも男性名詞として扱われます。

同様の例を幾つか列挙しておきます。

男性名詞
юноша(若者)、дядя(おじさん)、Ваня(ワーニャ、注:男性名の愛称形です)

女性名詞
мадам(マダム)、леди(~夫人



【第2回】 断定文・疑問文・否定文